サイレントマニュピレーション
肩関節拘縮に対するサイレントマニピュレーション
この治療について
サイレントマニピュレーション(以下、SMP)は、肩が固まって動かしづらくなる「肩関節拘縮(凍結肩)」の治療法です。
痛みをしっかり抑えたうえで、医師が肩をゆっくり動かし、固まった関節の袋(関節包)の癒着をはがします。
その場で動かせる範囲が広がります。その後は早期からリハビリを行うことで、獲得した動きを定着させていきます。
治療対象となる方
- 肩が固くなって3〜6か月以上リハビリや注射を続けているが、動きが改善しない
- 痛みや、肩の動きの制限のために、日常生活やスポーツに支障がある
- 画像検査(レントゲン、エコー、MRIなど)で骨折や大きな腱の断裂などがない
- 炎症の強い時期(夜間痛や熱感が強い時期)は終わっている
対象とならない方
- 骨折のリスクが高い方(重度の骨粗鬆症など)
- 感染や腫瘍など特殊な病気が原因の肩のこわばり
- 血液をさらさらにする薬を内服中で、出血の危険性が高い方
- 糖尿病や甲状腺疾患をお持ちの方(再発率が高い傾向にあるため)
治療の流れ
- 診察
肩の動きや痛みを確認し、必要に応じてレントゲンや超音波検査で原因を調べます。 - 痛みを抑える処置
肩周辺の感覚を支配する神経をブロックします。肩関節内のステロイド注射も併用します。 - 肩の操作(癒着を剥がす)
医師が肩をゆっくりと色々な方向に動かし、固くなった部分をはがします。 - リハビリ
再癒着しないように、獲得した動きを維持・定着させるためのリハビリを行います。 - 自宅での運動指導
再び固まらないように、自宅での運動方法をお伝えします。
期待できる効果
- 肩の動く範囲がその場で広がる
- 痛みが軽くなる
- 可動範囲が広がるため、その後のリハビリ効果が出やすくなる
考えられるリスク
- 一時的な痛みや腫れ、内出血
- 腱板損傷や上腕骨骨折
- 一時的な神経障害
- 局所麻酔中毒